株式会社レタスを設立した当時、私たちのオフィスは大阪・伏見町にありました。ちょうど「神農さん」として親しまれている少彦名神社の裏手に位置する場所です。
設立から28年。長くこの地域と関わってきましたが、つい最近になって、あらためて気づかされることがありました。
道修町といえば、古くから薬の町として知られています。そしてこの地には、谷崎潤一郎の小説『春琴抄』にちなんだ文学碑が、少彦名神社の境内に設置されています。
『春琴抄』の主人公・春琴は薬種商の娘という設定であり、その背景にはまさにこの道修町の商人文化が色濃く反映されています。作品の中で地名が明示されているわけではありませんが、この町の空気感や歴史が、物語の土台として存在していることはよく知られています。
今朝、あらためてその文学碑を訪れ、写真を撮影してきました。これまで何度も近くを通っていたはずなのに、意識していなければ見過ごしてしまうものだと実感しました。
日々の業務の中では気づきにくいことでも、少し視点を変えることで、身近な場所にある歴史や文化の奥行きが見えてくるものです。
創業の地のすぐそばに、日本文学を代表する作品の世界が静かに息づいていたことに、どこか不思議な縁を感じます。
これからも、こうした「身近だけれど見過ごしていたもの」に目を向けながら、私たちの歩みを振り返っていきたいと思います。

(今朝撮影:春琴抄の文学碑)

